人生のあらゆるシチュエーションで、
ご利用いただける価値がある。
髙田 賢介
Photos:Yasuhiro Miki
Composition&Text:Katsuhiko Ide
一番大切にしているモノは、お店で過ごされる『時間』。
Edgeのお店でその『時間』は、お客様が求められる価値に近づく事で次第に『素敵な体験』へと変身する。
カテゴリーの枠に捉われず、常に現代的な表現でお客様をお迎えする、Edgeの顔とも言える、フィッシュバンクトーキョーで高田代表にお話しを伺った。
Every Day Good Experience (EDGE・エッジ)
お客様の毎日に素敵な体験を
ランチ、ディナー以外に、パーティー、ブライダル、それに併設のバーと、5つの顔を持っています。お食事を楽しみにいらっしゃるお客様が多いですが、接待や記念日のご利用も多く、中にはプロポーズされるお客様もいらっしゃいます。料理、サービス、お店の雰囲気の掛け合わせによって、人生のあらゆるシチュエーションでご利用いただける価値があるのではないかと考えています。
レストランビジネスで大事なのは、テーブルを囲む方とどういうシチュエーションで楽しんでいただけるか。テーブルに着いた時間は、お客様が主人公です。私どもスタッフとお客様は対等な関係性でありながらも“シェルパ(登山ガイド)”のように、ときには先導するシーンがあったり、後ろからフォローするシーンがあったりします。接待であればホストの秘書となり、先回りして考えるようスタッフに指導しています。
接客においても、また上司と部下の関係性でも、向かい合うより同じ側に立ってその目線の先にあるものを一緒に見るスタンスが大事。向き合うと足りない部分に目がいきますが、横に並んで同じ方向を向いて共にゴールを目指すのが重要だと考えています。
優秀なシェルパになるために
求められる人物像とは?
“EDGE standard(エッジ・スタンダード)”と呼んでいる企業理念を常に意識できるように、それらが記載された携帯型のカードを持たせています。この企業理念は4年ほど前に、弊社のスタッフが働きながら大切にしている価値観を集約したものです。理想とする指針なので、自らも近づけるように心がけています。
レストランに限らずあらゆる仕事で同様でしょうが、私はチームの連携がいちばん大切だと考えます。食器を洗うディッシュウォッシャー、ウエイター、シェフの仕事も同等の価値があり、誰ひとりの存在が欠けてもお店の運営はできません。そのためにもお互いの存在に感謝し合うことを意識させています。
笑顔に親しみを持てるか?
「この人とお酒を飲みに行きたい」と思えるかどうか?
単純にお客様を喜ばせようと思えているかどうか。つまるところ、自分たちの人間力を高めていく、事でしょうか。
たとえば親しい友人やお付き合いしている相手のご両親が来店した際は、感情移入しますよね。それと同様に緊張感を持ってお客様に接すれば、おのずと良い接客になると思うんです。そのためには、素直にお客様に気に入っていただけるような存在に近づいていく必要があります。
スタッフの採用基準としては、どこで何年働いたというスキルよりも、笑顔に親しみを持てるかなどの人間性と、直感的に「この子とお酒を飲みに行きたい」と思えるかどうか。レストランは食事やお酒を通してコミュニケーションを取る場なので、「彼とお酒を飲んだら面白そうだな」と思える人は、いい接客ができるという印象を持っています。面接でその人本来のピュアな部分がにじみ出たり、接客が好きなんだなと感じる人は、経験を問わず採用していますね。
お客様とのヒストリーを築くことが
お店の付加価値になるという実感
『フィッシュバンクトーキョー』では披露宴も受けておりますので、結婚記念日にご利用いただいたり、さらにお子様の誕生日に来ていただいたり、お客様とのヒストリーを作ることを理想としています。
以前は、お客様の情報にオーダー履歴情報を紐付けるためにアナログな手作業を行っていましたが、自動化されてからは、通常のオペレーションを行いながら手間を増やさずに情報を蓄積することが出来るようになっています。ご来店時に情報化されたデータにより、次回のご来店時にはさらに踏み込んでご満足いただけるサービスへとつなげることが出来ます。
『フィッシュバンクトーキョー』は2017年に14年目を迎えますが、2016年が過去で最も多くのお客様にお越しいただいています。お客様の多様なニーズを察知しつつ、期待を上回るサービスを追及していけば、オープンから何年経ってもお客様は増やせると確信しています。業務を効率化することはもちろん必要ですが、お客様と接する時間を増やせた結果、前回とまた違った対応を積み上げていけるようになり、それがお店としての付加価値になっていると実感しています。
お客様はプライベートで来店されても、次は仕事の会食で使っていただくケースもあり、ひとりひとりのお客様にまつわるシーンは様々なのです。お店の付加価値が高まれば、何かのタイミングで「フィッシュバンクの、あの彼にコーディネートしてもらおう。」と我々を思い出していただくことができます。
髙田 賢介
東京大学在学中に外食産業の道を決心し同社入社。
2013年同社 代表取締役社長就任。
エッジ・スタンダードと呼ばれる同社スッタッフが持つべき価値観が集約された企業理念をベースにして、独自の従業員育成とチーム形成を確立している。